2006-03-16(Thu)
「Crash」希望を見せておくれよ

クラッシュクラッシュ
(2006/07/28)
サンドラ・ブロック、ドン・チードル 他

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車、車、車、と書いてLAと読む。

この映画の中での人と人との関わりあいはすべて車を媒介して成り立っている。っていうか、現実世界のLAもそうなんだけど。

カージャック、交通事故、ヒッチハイク、トランクの金、荷台に積まれた…。

脚本はすごくよくできていて隙がない。それぞれのキャラの感情や行動の動機付けには説得力があるし、群像劇によくある「一見無関係なキャラ同士が実は関わり合っている」っていう演出も、よくできていた。(徹底しすぎててちょっと笑っちゃったけど)。

でも、2度見たいとは思わなかった。「感情移入できるパーソナリティ」と「希望の光」が見えなかったから。
映画の出来不出来の問題じゃなくて、僕の好みの問題。

「ちょっとイイ話:連続殺人鬼が、ちょっと機嫌がよかったある昼下がり、道に迷っていたおばあさんに親切に道を教えてあげました」
って、全然イイ話じゃねーよ!
みたいな。
僕の趣味を基準に考えると、「Crash」の各々のエピソードは基本的に悲劇ばかりで、登場人物の性格や行動もあまり感情移入できない。
もちろん「この性格の人物がこの状況に置かれたら確かにこういう行動をとるだろう」という意味では説得力があり、だからこそ「好みじゃないけど脚本はすばらしい」って言えるんだけど。

同じような群像劇で「わが街(原題:Grand Canyon)」という映画があります。
1991年の作品ですが、この映画でもカージャック、銃での強盗、ギャング、渋滞、地震など、LAの抱える代表的な問題の中で迷いながらもポジティブに生きていく人々を描いています。
こちらの方が好きです。
ケビンクラインやスティーブマーティンというコメディもできる役者を起用することで、ヘビーな出来事も重くなり過ぎないように表現しています。
この作品、アメリカでの興行収入は最悪だったのですが、ベルリン国際映画祭でグランプリ(金の熊)獲ってます。
「Crash」がそれぞれの点を完璧な線でつないでいるのに対し「わが街」は、点を点のままにしている部分も多く、「Crash」を先に見た人が「わが街」を見ると、それぞれのエピソードの未解決感にイライラするかも? 解決しているものについても、ちょっと甘口で都合よすぎるし。

わが街についてはまた今度ゆっくり。とりあえずCrashがオスカー獲ったってのはいいことだと思うよ。脚本賞は獲ると思っていたけど作品賞ってのはびっくり。

dygoの満足度:C(脚本完成度高いけど好みじゃない。次回作はスゲー見たい)

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今回Crashを見て、こういう群像劇に興味を持った人。以下の作品はいかがでしょうか?(全部が群像劇ってわけじゃないけど)

○わが街(1991):僕はかなり好きなんだけどね〜、この作品。

○ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991):LAのサウスセントラル(ちょっとやばい地域)を舞台にした、ある黒人の兄弟達の物語。暴力の虚しさが痛いほど伝わる。めちゃくちゃパワフルな作品だよ。必見。

○フォーリング・ダウン(1993):ちょっと短気だけど普通のおっさん(マイケルダグラス)が、ある些細な事をきっかけにブチ切れて、どんどん壊れていく話。社会派サスペンス?なのだが、かなり笑える。都会のイライラってやつを浮き彫りにした秀作だと思うんだけど、この映画過小評価されてるよな〜。「危険な情事」「ゲーム」「トラフィック」…マイケルダグラスって、テンパってる姿が一番輝くね。

○アモーレス・ペロス(1999):1つの自動車事故を接点として、3つの無関係な人々の「愛の形」を描いた暗い暗い作品。各々のエピソードは交わらないので、群像劇というよりオムニバスか(そもそも「群像劇」の定義ってなに?)。暗くて痛くて嫌いです。「奇跡の海」とか「ダンサーインザダーク」が好きな女性には好まれそう、この作品。でもいい映画だと思います。この監督の「21グラム」見てみたいです。

○マグノリア(1999):Crashと同じ理由で「よく出来てるけど好きじゃない」群像劇。これもなんか暗くてね。でもトムクルーズやPSホフマンの演技はよかった。仕事やら病気やらでめちゃくちゃ疲れてた時期に、地下鉄の振動が響き渡る暗い銀座シネパトスに一人で見に行ったからだな。途中で寝たし。全然オススメ映画じゃないんだけど、Crashにすごく構成が似てるので挙げてみた。両方とも最後にありえないものが降ってくるし。「Crash」って「マグノリア」+「わが街」って感じがするのよね。マグノリアの監督は大好きで「ブギーナイツ」はお気に入り。

○トラフィック(2000):「麻薬」をめぐる群像劇。これも暗いんだけどね〜。でも大好き。ソダーバーグ監督最高。ソダーバーグ監督の「わが街 セントルイス(原題:King Of The Hill)」っていう1993年の作品、日本未公開でほとんど知られていない、ヨーロッパ映画みたいに淡々とした作品なんだけど、ものすごく好きなんです。DVD化してくれ!
お気に召したら拍手〜♪
映画2006 | 【2006-03-16(Thu) 00:00:00】 | Comments:(0) | [編集]
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